事業概要
事業名 | 「日本産ふぐ&水産物輸出拡大プロモーション in マレーシア」 |
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実施期間 | 2022年 1月 10日(月)~ 2月 11日(金)、 2月 23日(水) |
主催者 | 水産物・水産加工品輸出拡大協議会 |
事務局 | 国際ふぐ協会 |
事業目的 | マレーシアは、世界で唯一の日本産フグの自由貿易国であるが、現地ではフグによる食中毒も発生しているため、食することを恐れていることが障害となっている。 従って、中国や韓国からの輸出によるマーケットが浸食されないうちに、日本産フグの安全性や美味しさを現地に根付かせる必要がある。 ブリ、タイ、ホタテについても同様に周知し、日本産水産物の輸出拡大に貢献することを事業目的とする。 ※コロナ感染者数の拡大により、マレーシアへの渡航が不可となったことから、代替案としてサンプルをバイヤーに配布し調理例等を紹介し、調理・試食していただくこと、指定レストランでサンプルメニューを試食いただくこととして、プロモーションを実施する。 |
事業内容 | 1).レストランでの試食会 日本の水産物に適切に理解を有するレストランを選定し、現地のレストランでバイヤー等を対象にフグ、ブリ、タイ、ホタテの試食メニューを提供し、味、安全性、流通等に係るアンケートを実施する。 2).バイヤーへのPR活動 フグ、ブリ、タイ、ホタテのサンプルをマレーシアの有力バイヤー配布し、調理・試食をしていただき、味、安全性、流通、取引意向等に係るアンケートを実施する。 |
成果 | バイヤー61店へのPR活動、レストランでの試食により、約3,000万円の成約を見込める成果を得た。 |
事業報告
1. レストランでの試食会
- 場所
- 「Nobu Kuala Lumpur」
- 実施期間
- 2022年 2月 23日(水)
- 実施内容
- 現地で最も名高い日本料理店である「Nobu Kuala Lumpur」にご協力をいただくことになったが、ふぐメニューを扱った経験がないことから国際ふぐ協会と現地の消費者に受け入れやすく、フグの魅力が伝わり、市場拡大できるようなふぐメニューの開発協議を重ねた。 その結果「Nobu」としてふさわしく、世界中の「Nobu」店舗で採用いただけるようなサンプルメニューを考案した。コロナ制限下ながら有力なバイヤーが来店され、盛会のうちに試食終了となった 。
- サンプル試食メニュー
- 実施結果
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≪試食者から寄せられたコメント≫
1). フグ
・おいしい、メニュー化を前向きに検討する余地はある。
・地元メニューとの相性は、味覚、価格的に難しい。
・アジアでは、マレーシアでしか食べられないのであれば、そのことをアピールしてみたい。2).ハマチ
・商品やメニューによって、味のバラツキを感じることがある。
・シンガポールでは、塩焼きが定着してきている。マレーシアでも定着の可能性はあると思われる。3).ホタテ
・値段が適正であれば、ぜひ取り扱いたい。
・様々なメニューが考案できる。様々な食文化、レストランでの需要を感じられる。4).タイ
・生食需要の拡大と共に、マレーシアでも利用が広がると思われる。
・ティラピアとの差別化のため、高品位なタイに限定すべきではと感じる。≪シェフのコメント≫
1).「Nobu Kuala Lumpur」エグゼクティブシェフ・フィリップロン氏
・日本産フグでメニュー化するという楽しい機会をいただき、ありがとうございました。今回は、初めての経験でマレーシア人に向けたメニューとなりましたが、日本で食べる経験を通じてフグを学び、フグ食文化を知り、もっとフグらしいメニュー開発にも取り組みたいと思います。ヒレ酒や白子の話を伺い、興味深いと思いました。コロナによる制限が終了したら、日本で本場のフグを食べることが出来る機会を楽しみにしています。ありがとうございました。 ・ホタテは、マレーシア人にも受け入れやすい食材であると思います。未だ知らない食材が多数あることを知り、もっと日本の水産物や食材を学びメニューに生かしたいと思いました。
2).刺身/寿司担当シェフ・マサ氏
・日本でフグを取り扱った経験はありましたが、まさかマレーシアフグを取り扱うとは思いませんでした。
日本食を現地にフュージョンしてくことが「Nobu」のスタイルであり、日本のフグも検討していきたいと思います。
・フグが、アジアではマレーシアでしか食べることが出来なかったこと、知りませんでした。世界中から観光客が訪れる「Nobu Kuala Lumpur」から日本のフグの美味しさを世界に発信出来たら幸いです。
・マレーシアで紹介されている日本食材は、まだ少ないと思います。もっと日本からの物流が増えれば、私共もメニュー開発が楽になります。
2. バイヤーへのPR活動
- 実施内容
- 試食用サンプルを現地の(センドイチ)を通じて、現地の有力バイヤーにフグの産地や調理事例のパンフレットと共に配布し、調理、試食していただくことによりPR活動を行った。また後日、調理、試食をいただいた感想を伺った。
- 実施期間
- 2022年1月10日(月)~2月11日(金)
- 配布数
- 61店
総括
マレーシアは世界で唯一、日本産フグ加工品が自由に貿易することができる重要な国です。
しかし、今回もコロナ禍で1日2万人ほどの感染者が増えている中、昨年の行動規制MCOが発令されず、日本産フグ等の試食会を実施できたのは幸運でした。
今回も残念ながら日本からの渡航は叶いませんでしたが、マレーシアのシンボルであるペトロナスツインタワーからフェオーシーズンホテル内に移転したばかりで注目されている世界的レストラン「NOBU」のご協力で現地のバイヤーやマスコミを招待することができました。
ただ、コロナ禍で予定していた人数には届きませんでしたが、20名の現地バイヤー、シェフやマスコミへ日本のフグ等をNOBU風のアレンジ料理に仕上げて愉しんでもらうことができました。事前に銀座の有名高級寿司出身のシェフと共に時間をかけて検討した試食メニューが好評価に寄与できたと思っています。
後日、現地のメディア(日本版フリーペーパー紙)にも掲載いただき、今後マレーシアでのフグに対するイメージが向上することを期待しています。
また、当日に向けて日本フグメーカー8社に依頼して、展示サンプルを手配しました。カタログも作成しましたので、出席されたバイヤーからも実物を見て、イメージがつかめたと良い感想を聞きました。
さらに現地サプライヤーのSENDOICHI社と連携してマレーシアでフグに興味のある61社のシェフにトラフグミガキを配布してアンケートを収集しました。
そのうち5件の現地レストランと早々に成約できました。今回のサンプルは養殖活〆トラフグミガキにしたので、生食可能な高鮮度なフグで好評価を得ることが出来ました。現地でプチ流行しているフグの味噌スープも日本人には無い斬新な発想で面白いと感じました。
ブリは生食以外や冷凍流通での拡大は難しいそうですが、良質なハマチは価格的に厳しいものと思われます。ホタテは人気で、他にはないので拡大できそうです。タイは周辺国で養殖されているティラピアと競合し、価格的にも難しいと感じました。
国際ふぐ協会として日本産フグのプロモーションをマレーシアに向けて行いましたが、シンガポールと比べて、全体的に広がっていくにはもう少し時間と労力が必要かと思います。ただ今回、当協会マレーシア代表のANDY氏の活躍によりNOBUレストランで宣伝し、興味をもった多くのシェフよりトラフグを取り扱ってみたいとの声も聞けましたので、今後現地での日本産フグ認知がさらに拡大されることに尽力します。 コロナ禍が終息した後に向けて、さらにメニュー化される食材となるよう、引き続き努力して活動したいと思います。